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再生医療で幹細胞が重要な理由

IPS細胞やES細胞といった言葉を、普通の人でも知っているほどに再生医療は注目されています。従来の医療ではできなかった難しい病気の治療や、先天的・後天的に失われている体の一部を新しく作り出せるということで、大きく期待が寄せられています。

その再生医療では、とても重要な役割を果たすのが幹細胞と呼ばれる特別な力を持った細胞です。人間の体は、もともとは精子と卵子が一緒になった受精卵から始まっています。その受精卵が細胞分裂を繰り返して成長し、やがては手や足といった体の器官が作られていきます。そのときに起きていることを分化というのですが、普通の細胞はいったん分化が始まると何になるのか決まってしまいます。つまり手になろうとしている細胞は途中で元に戻って、足や目・鼻になることはありません。こういう細胞を体細胞というのですが、幹細胞はその前の段階で色々なものになれる可能性を持った細胞のことを言います。

幹細胞は生まれる前に体をつくることだけが仕事ではありません。怪我をしたときに傷口で死んでしまっている細胞を補ったり、体の組織や臓器が常に働けるように機能を維持する役割を持っています。

再生医療で実用化もされているのが、体から体性幹細胞を採取・培養をする方法です。当初は骨髄から採取するやり方が研究されてきました。白血病の患者に行われる骨髄移植というのは、まさにその治療法です。ただ骨髄は量が少なく体に複数の穴を採集をするために感染症などの危険もあります。2001年に脂肪から採取するやり方が発表されたことから、安全に採取ができるとして脂肪由来が主流になってきています。

ちなみにES細胞は受精卵が胚になったところで壊して幹細胞を抽出するもので、iPS細胞は体細胞に多能性誘導遺伝子と呼ばれるものを取り入れて培養するものです。どちらも万能細胞と言われるように、あらゆる器官になれます。ただES細胞には問題も多いので、それをクリアしているiPSi細胞の方に注目が集まっています。

ちなみに、脂肪から採取する方法であれば、ES細胞のように受精卵を壊して採取するわけではありませんから倫理的な問題はありません。しかも、患者自身から採取するので、拒絶反応の心配もないです。ES細胞の方は、卵子を提供した人の遺伝子も含まれるので拒絶反応が起きる可能性があります。他にも再生医療のリスクとして腫瘍化・ガン化がありますが、こちらも脂肪から採取しているのであれば起きにくいです。

こうしてみると、体から採取すればメリットが多くデメリットが少ないように思えますが、培養をしていくと増殖能力が次第に低下していく問題があります。また、特定の臓器を作るために分化を誘導するということは難しいです。ですから何でも治療ができるというわけにはいきません。ですからiPS細胞のように人工的に分化の万能性を高める人工多能性幹細胞の研究もとても重要です。

コストについて見てみると、今は誰でも気軽に受けられるというものではありません。臨床試験では数千万円から1億円はかかったという例もあります。もちろん、技術は進んでコスト削減ができれば、もっと安く出来ると想定されていますが保険が適用されても数百万円の負担になると言われています。命を救う、失った体の一部を取り戻せるならお金を払うという人も多いでしょうが、このままであれば実用化しても経済的に豊かな人が受ける治療となる可能性が高いです。

なお、こういったやり方で行われる再生医療で、多くの人が助かることは確かですが、何もルールを決めずに推し進めていけば間違った方向に行く可能性があります。倫理的に問題はないのか、実験的に治療を行うことはないのかといったことを確認するための手続きが必要です。そこで医師法や再生医療等安全確保法の規制のもとで、研究や治療が行われています。

再生医療 , 幹細胞