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再生医療を受けるための金額とは

自分自身の幹細胞などを用いて組織や臓器を培養し、病気やけがの治療に活用する方法が再生医療です。この治療方法は従来の移植とは違い、理論上は拒絶反応が起こるリスクがなくて安全性が高いというメリットがあります。自身の細胞から必要な組織を培養する再生医療は「夢の治療」と呼ばれるほど画期的な治療方法ですが、費用が高額になってしまうという問題があります。

現在は研究・開発段階で実験的に治療が行われているため、高額の治療費は研究費で賄われています。京都大学iPS細胞研究所の八代嘉美特定准教授をリーダーとする研究チームが、2017年に再生医療のコストについての調査を開始しました。この調査によれば、患者自身の幹細胞など培養する方法で行われた再生治療にかかった金額が非常に高額であることが判明しています。中には患者1人あたり1億円もの費用がかかったケースもあり、費用のほとんどは細胞を培養するためにかかったコストでした。今は研究段階で試行錯誤をしながら行われているため、もしも実用化されたら現在よりも低コストで遺伝子検査や細胞を培養する技術が開発される可能性があります。それでも患者ごとにオーダーメイドの治療となるので、化学的に合成された医薬品を使用したり外科的な処置を施す従来の医療とは比較にならないほど高額の費用がかかってしまうとみられています。

現在は高額の治療費が研究費で賄われていますが、実用化されると患者自身や健康保険組合が高額な治療費を負担しなければならなくなります。もしも再生医療が実用化された際は、患者1人あたり数千万円とか数億円もの金額の治療費を負担しなければならなくなる可能性があります。一般人が数千万円もの医療費を支払うことは到底不可能なので、治療が受けられるのは一部のお金持ちだけという事態が起こるかもしれません。

患者自身から取り出した脂肪幹細胞を培養して作成した組織を用いて治療を行う方法は、既に一部の医療機関で行われています。2018年時点で既に実用化されているのは患者自身の細胞を培養して皮膚や軟骨組織を作製して移植する治療で、全額自己負担となります。この治療を受けるための費用ですが、初診料5,000円・検査費用20万円・初回治療229万5千円・2回目以降の治療125万円となっています。皮膚や軟骨は人体の中で単純な組織ですが、それでも培養をするのに数百万円もの費用がかかってしまいます。将来はiPS細胞を培養することで、もっと複雑な構造の組織や臓器を製作して患者に移植を行うような治療が実用化される可能性があります。このような治療を行う場合には多額の費用が必要になることは明らかで、仮に安全性や倫理面の問題がクリアできたとしても高額な治療費が問題となることでしょう。

かつて人工透析が実用化されたばかりの頃は健康保険が適用されず、高額の透析費用を患者自身が負担しなければならない時代がありました。この当時は治療を受けるために、自分が所有する山や畑などを売って治療費に充てていた人もいたほどです。患者は多額の透析費用を支払うことがきなくなると治療を中止せざるを得なくなり、“金の切れ目が命の切れ目”とまで言われていました。再生医療が実用化されるようになれば、これまで治療が困難であった病気も完治できるようになることでしょう。それでも数千万円とか数億円という金額の医療費を支払わなければ治療を受けることができず、一部のお金持ちしか恩恵を受けることができなくなる可能性があります。再生医療が“夢の治療”であることには変わりがありません。それでも近い将来に実用化されたとしてもコストの問題が解決できない限り、一般庶民にとっては手の届かない「夢」のままで終わってしまうかもしれません。

ips細胞 , 健康保険 , 再生医療 , 治療費 , 移植