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加速しているパーキンソン病に対する再生医療

パーキンソン病は、様々な運動障害が起きる病気です。早期に発見して早期に治療すれば日常生活を元気に送ることも可能です。しかし、進行してしまうと自由に体を動かすことができなくなってしまいます。加齢に伴って患者さんは増え、日本では現在およそ1000人に1人がこの病気です。

パーキンソン病は、脳の神経伝達物質であるドパミンの量が減少することで発症します。手足の震えや筋肉のこわばり、動作を開始するときに時間がかかる寡動(かどう)、動きがほとんどなくなる無動、足が前に出なくなる「すくみ足」などが主な症状です。そのため転倒することも少なくありません。

また、自律神経症状も伴うので、便秘や低血圧やむくみや冷えなどもあるし、レビー小体認知症を合併しやすいのです。

このようなパーキンソン病に対しては、次のような治療法があります。

レボドパと言う薬で、ドパミンを補充するという治療です。しかし使用期間が長くなると身体が勝手に動く不随運動が現れることがあり、これが難点です。

ドパミン受容体作動薬は、ドパミン受容体を刺激することで症状を軽くしています。しかし副作用として眠気やむくみや幻覚や妄想などが起きることがあり、これがデメリットです。また、MAO-B阻害薬という薬でドパミンを分解するモノアミン酸化酵素の働きを抑えて、ドパミンが減少しないようにするなどの治療しています。

これらの薬が効きにくくなったり副作用で薬を続けられなくなった場合は、脳深部刺激療法なども行われています。脳の中に電極を入れて、鎖骨の下には刺激発生装置を植え込んで脳に電気刺激を与えるという方法です。

また2016年からは胃ろうを作って、そこから腸に直接レボドパを配合した経腸用液を持続的に送り込むという治療も行われています。これらが、現在行われている治療です。

そんな中、パーキンソン病に対してもips細胞を使った再生医療の研究が加速しています。

2008年に米国のグループがマウスのips細胞を使ってパーキンソン病のラットを治療することに成功しています。そして日本では、2012年に京都大学と順天堂大学による共同研究でパーキンソン病患者の皮膚からips細胞を作って、病態メカニズムを再現させることができているのです。

患者さん自身の皮膚なら、拒絶反応の心配もありません。

そして京都大学付属病院では、世界初のips細胞を使った治験が開始されているのです。2018年の7月末に医師主導のこの治験の参加者の募集をしました。一定の条件があって、50歳以上70歳未満やり患機関が5年以上や中等度の薬物治療が不十分な患者さんが対象となっています。

治験に先立ってサルで入念な動物実験も行われましたが、運動症状が改善して移植細胞も生着しています。サルの実験結果からは、安全性や有効性共にヒトips細胞を用いた場合でも期待できる、胎児細胞移植では20年以上経過した患者さんが投薬なしで生活できているという報告もある、とのことです。

目標としては、2022年ごろにはこの治験の評価を待って「条件および期限付承認」を目指すようです。寝たきりだった人が働けるようになる可能性も見えています。

現在、ips細胞を使った再生医療の臨床応用に向けた研究が一層加速しています。患者さん自身のips細胞から血小板を作って、血小板輸血不適応を合併した再生不良性貧血に移植したり、ips細胞から作った角膜細胞移植やips細胞から誘導した神経幹細胞を使って脊髄損傷の急性期の患者さんに移植するなどの研究も行われているのが現況です。

今まではなす術がなかった病気でも、治ることが期待できる時代が間もなくやって来る可能性は大きいです。

最終更新日

ips細胞 , パーキンソン病 , 中枢神経